2023年6月に、ラグビー日本代表として初キャップを取得した李承信(りすんしん)選手。
2023年9月8日から開催されたラグビーワールドカップにも出場しました。
2024年現在は、コベルコ神戸スティーラーズ所属のラグビー選手として活躍されています。
そんな李承信選手は、高校卒業後、ラグビー強豪校のひとつである帝京大学に入学。
しかし、途中で帝京大学のラグビー部を退部!
大学も退学(中退)されました。
その理由は???
李承信選手の高校時代の活躍ぶりや、大学退学(中退)後、コベルコ神戸スティーラーズ(略称:神戸S)に加入された経緯についても、ご紹介していきます!
■李承信が大学を退部(退学)した理由は?
■李承信の中学時代
■李承信の高校時代
■李承信が神戸Sに加入した経緯
チームの名称は、以下のように変更されてきた歴史があります。
■神戸製鋼
↓
■神戸製鋼コベルコスティーラーズ
↓
■コベルコ神戸スティーラーズ
こちらの記事では「コベルコ神戸スティーラーズ」という表記で統一させていただきます。
李承信が大学を退部(退学)した理由は?
李承信選手は、2019年にラグビーの強豪校である帝京大学に進学しましたが、2年生のときに大学を退学(中退)します。
そして、当然のことではありますが、同時に帝京大学ラグビー部も退部されました。
その理由は、海外へ留学するため!
留学先に選んだのは、ラグビー強豪国であるニュージーランド!
「オールブラックス」の国です!
帝京大学では、1年生から試合に出ていた李承信選手。
翌年の2020年2月には、ジュニアジャパンにも選ばれ、主将を務めました。
※李承信選手は、一番右側の下です!
ジュニア・ジャパンのメンバー発表 19歳の相良昌彦と李承信がW主将https://t.co/3DwaejXlgB#ラグビー #ジュニア・ジャパン #パシフィック・チャレンジ pic.twitter.com/umHMJJ0QhB
— ラグビーリパブリック|RUGBY REPUBLIC (@RUGBY_REPUBLIC) February 23, 2020
大学生でありながら、海外の選手たちと試合をする中で、芽生えた気持ち。
それが、海外へ留学したいという想いでした。
海外では同世代の選手がプロで活躍していることを知り、
「違う環境、タフな環境で成長したい」
と大学中退を決意。
引用元:JIJI.COM(2022.9.9付)
海外のプロラグビー選手たちの多くは大学には進学せず、高校を卒業する頃からプロとしてプレーしています。
それを知った李承信選手は、大学でプレーするよりも少しでも早くプロになりたい!と考えるようになったのでしょう。
実は、李承信選手は高校時代にすでに世界と戦っています。
高校日本代表に選ばれ、主将として海外(ウェールズ/イギリス)遠征も経験しています。
※李承信選手は、右側です↓
2018年度高校日本代表🇯🇵
李承信主将のコメントです‼️試合開始から、ウェールズのスピードあるアタックとフィジカルに対して受け身になってしまい、前半でリードをされましたが、後半からは自分達のHigh Speed Rugbyをチーム全員で体現できたと思います。#高校ラグビー#日本代表 pic.twitter.com/lJVSV2eFq3
— MBS全国高校ラグビー (@RugbyMBS) April 1, 2019
すぐにでも海外へ行って、世界レベルの環境の中でラグビーがしたい!
そんな気持ちは、実は高校時代から持ち続けていたのではないでしょうか。
当初、大学を辞めて留学することは、父親に大反対されました。
しかし、何度も話し合いを重ね、理解してもらって、ようやく実行できる!
と思った矢先に、世界中がコロナ禍に見舞われてしまいました。
大決心をして準備をしていたニュージーランド留学でしたが、コロナ禍により渡航できず断念。
まずは英語を勉強して、その後ニュージーランドのワイカト大学へ進学をしたかった李承信選手は、ものすごくショックを受けたそうです。
もしこのときに、予定通りニュージーランドへ留学へ行っていたら。
李承信選手は、また違うラグビー人生を歩んでいたことでしょう。
渡航を断念したあとから、李承信選手の辛い日々が始まります。
留学の話がなくなったからと言っても、すでに大学は辞めてしまっています。
ですから、大学に戻るわけにもいきません。
大学も中退し、所属チームもなく、地元・神戸の公園で一人黙々とラグビーの練習する日々が続きました。
途中、バイトをするなど、先も見えずに不安な日々を過ごしていたことが想像できますね。
しかし、この後、李承信選手は地元神戸を拠点とするラグビーの名門チーム「コベルコ神戸スティーラーズ」に加入することになるのです!
その辺りの経緯については、後ほどご紹介しますね!
こちらも、是非ご一読くださいね
李承信の中学時代
李承信選手は、3歳から神戸朝鮮中級学校幼稚園に入り、そのまま神戸朝鮮初中級学校に進学しました。
神戸朝鮮初中級学校は、幼稚班(幼稚園)・初級部(小学校)・中級部(中学校)までを指します。
李承信選手は、幼稚園から中学校を卒業するまで、この学校に通いました。
中学校ではサッカー部!
神戸朝鮮初中級学校の中級部(中学校)では、李承信選手はサッカー部に所属していました。
調べてみると、中級部のサッカー部は神戸市内の大会で優勝するなど、なかなかの強豪チームのようです。
当時、李承信選手がレギューラーだったのか調べてみましたが、詳細はわかりませんでした。
しかし、コベルコ神戸スティーラーズの公式ホームページ内の選手紹介のページに、以下のようなエピソードを発見!↓↓↓
Q:今までで一番の武勇伝は?
A:サッカーをしていたが試合でPKを決めたことがない
引用元:コベルコ神戸スティーラーズ選手紹介
なんと、サッカーをやっていた中学時代に、一度もPKを決めたことがない!と告白?されています。
もう、このことは「ネタ」にしているんでしょう。
「武勇伝」としているところに、関西人の匂いを感じます!
中学時代から、すでにラグビーセンスが評価されていた李承信選手ですから、運動神経が悪かったとは思えません。
ましてや、サッカーが下手だったとは思えないのですが、真相は???
「兵庫県ラグビースクール」でプレー
学校ではサッカー部に所属していた李承信選手ですが、ラグビーに関しては「兵庫県ラグビースクール」でプレーしていました。
この兵庫県ラグビースクールは、幼児~中学生までが対象のスクールです。
ですから、李承信選手は中学校卒業まで、この兵庫県ラグビースクールでラグビーをやっていたと考えられます。
李承信選手はこのチームに在籍中、兵庫県選抜のキャプテンとしてジュニアの大会で優勝もしています。
↓こちらのX(旧Twitter)が、当時の試合のことを指しているのではと思われます。
一番最初の写真に写っているのが、当時中学3年生だった李承信選手かな?と思うのですが、もし違っていたらすみません!!!
【全国ジュニア大会】
第21回全国ジュニア大会結果
第1ブロック 決勝
兵庫県スクール選抜 24-21 神奈川県スクール選抜
フォトギャラリー①#rugbyjp #中学ラグビー pic.twitter.com/ULpYuNWlCk— 関西ラグビーフットボール協会 🏉 (@kansai_rugby) January 6, 2016
神戸ラグビースクールのHPのお知らせ欄には、以下のような記載があります↓↓↓
「当スクール出身の李承信選手(コベルコ神戸スティーラーズ)が、9月8日に開幕するラグビーワールドカップ2023フランス大会の日本代表メンバーに選出されました!」
きっと、今こちらのスクールに通っている子供たちは、偉大な先輩・李承信選手の活躍を楽しみにしていたことでしょう!
神戸からワールドカップが開催されていたパリまで、皆さんの応援の声は届いていたと思います!!!
神戸ラグビースクールは、練習場所として「神戸製鋼灘浜グラウンド」を使用しています。
勘の良い人なら、もうお気付きですね?
「神戸製鋼灘浜グラウンド」は、その名の通り、李承信選手が所属しているコベルコ神戸スティラーズが所有するグラウンドなのです!
子供の頃に使っていたグランドで、プロ選手として練習に励んでいる李承信選手。
縁があり、入るべくして入ったような・・不思議な印象を受けますね。
学校では部活でサッカーを、そして学校外ではラグビースクールでラグビーをと、二刀流で頑張ってきた李承信選手。
体力のある学生時代だったとはいえ、中学のサッカー部はレベルも高かったようですし、試合もあったと思います。
ラグビースクールでも当然、練習、試合があったと思いますので、両立するのは相当大変だったことが想像できますよね。
その経験があったからこそ、今の実力を身につけられたのかもしれません。
是非、ご一読くださいね!
李承信の高校時代
李承信選手は、2016年4月に大阪府東大阪市にある大阪朝鮮中高級学校(高校)に入学しました。
小中学校時代は、ラグビースクールでラグビーをする傍ら、サッカー部に所属していましたが、高校ではラグビー部に所属!
ここからラグビー1本の生活が始まります。
3年生で念願の花園へ!
高校生ラガーマンにとっての聖地である「花園(全国高等学校ラグビー大会)」に出場したいという強い思いを持って入学した李承信選手は、早速実力を発揮!
高校3年生のときに、目標であった花園に出場しました!
これは、大阪朝鮮中高級学校にとって4年ぶり10回目の花園でした。
ベスト8を狙っていたものの、2回戦で敗退しています。
この時は、2回戦敗退ですが、2023年現在では、大阪朝鮮中高級学校ラグビー部は花園には11回出場・ベスト4入りは3度という記録を残しています。
李承信選手の高校3年間の花園へ向けた戦績は、以下の通りです↓↓↓
第96回大会(2016年/高1) | 大阪府予選 決勝で敗退 vs東海大大阪仰星高校 |
第97回大会(2017年/高2) | 大阪府予選 決勝で敗退 vs大阪桐蔭高校 |
第98回大会(2018年/高3) | 本大会出場 2回戦で敗退 vs報徳学園高校(兵庫県) |
在日コリアンが通う学校なので、他のラグビー強豪校に比べて部員数は少ないそうですが、卒業生の中にはラグビーの名門大学に進学したり、李承信選手のように社会人チームでプレーする選手を輩出しています。
その中の一人は、李承信選手の兄・李承爀(リ スンヒョ)選手。
李承爀選手は、三重ホンダヒートでプレーする現役ラガーマンです。
その他には、金勇輝(キム ヨンヒ)選手がNTTドコモレッドハリケーンズ大阪、金秀隆(キム スリュン)選手がクボタスピアーズ船橋東京ベイに所属されています(2024年1月現在)。
そんな強豪校で、このような素晴らしい戦績をおさめた李承信選手は、当時からかなりの実力があったことが分かります。
高校日本代表でも活躍!
2018年2月、高校2年生のときに、高校日本代表に選出されます!
そして、翌年3年生の時には、主将も務めました。
【高校日本代表発表!!】
2年生ながら高校日本代表に選ばれた
大阪朝鮮高 李承信選手‼正確なキック、パス🌟
キレッキレなステップが魅力の選手です‼「世界相手に自分の実力を試したい!」と話してくれた
李承信選手に注目です♬#高校日本代表#高校ラグビー pic.twitter.com/1hBbNMb9Nk— MBS全国高校ラグビー (@RugbyMBS) February 7, 2018
ダン・カーター選手と運命の出会い⁉
2018年7月、高校3年生の李承信選手は、コベルコ神戸スティーラーズの練習を見学するために灘浜グラウンドを訪れたことがありました。
その時にグランドにいたのは、当時来日間もなかったダン・カーター選手!
ダン・カーター選手は、2018-2019シーズンにコベルコ神戸スティーラーズでプレーされていたのです。
その際に、李承信選手はダン・カーター選手から、直接キックについてアドバイスをしてもらったそうです!
ラグビー界のスーパースターであるダン・カーター選手に会えるだけでもスゴイことなのに、指導してもらえるなんて、夢のような瞬間だったのではないでしょうか!
ニュージーランドの元ラグビー選手
ポジションはSO(スタンドオフ)
ワールドラグビー年間最優秀選手賞3回
テストマッチ個人通算ポイント数歴代最多記録保持者
2021年に現役引退
ダン・カーター選手からファンの皆様へメッセージ📽
“灯した火は燃え続ける🔥”
“the fire he lit burns for eternity🔥”#神戸製鋼コベルコスティーラーズ #kobelcosteelers #topleague#aigrugby #ラグビー #rugby#神戸 #kobe#ダンカーター #DanCarter #ありがとう #ARIGATO pic.twitter.com/fEIlncST7h— コベルコ神戸スティーラーズ🏉 (@kobe_steelers) June 17, 2020
この時、ダン・カーター選手と李承信選手を出会わせてくれたのは、当時コベルコ神戸スティーラーズのチームディレクターをしていた福本正幸氏。
実は、李承信選手は中学時代に福本正幸さんから指導を受けていたのです。
先ほど、李承信選手が中学時代に「兵庫県ラグビースクール」でプレーしていたとご紹介しましたが、福本正幸さんはこのチームでコーチを務めていた時期があり、旧知の仲でした。
色んなところで、運命の糸がつながっていますね!!!
ちなみに!
この福本正幸さんは、李承信選手がコベルコ神戸スティーラーズに入団する際にもキーマンとなる方です!
さて、ダン・カーター選手と李承信選手の出会いには、後日談があります!
2022年10月29日に行われた日本代表対ニュージーランド代表戦に合わせて、ダン・カーター選手が来日。
その際に、当時の日本代表チームの気になる若手選手のひとりとして、李承信選手の名前を挙げています。
それ自体は嬉しいことなのですが、以下のようにコメントしているのです↓↓↓
「彼と神戸で一緒にプレーしたことはないが、非常にいい選手だと思っている。
退団後に神戸の試合を見ていて、アーロン・クルーデンやヘイデン・パーカーがけがで出ていない時に、李のことは知らなかったが、この若い選手は誰だろう?と注目して見ていたら、今は日本代表までになっている。
間違いなく彼は成長している。
経験が彼をさらに良くなる」
高校2年生だった李承信選手に、神戸のグランドで会ったことをすっかり忘れてる?
もしかしたら、あの時の高校生と同一人物だと思わなかったのかもしれませんね。
李承信が神戸Sに加入した経緯
李承信選手が、コロナ禍で海外留学を断念した話は、先ほどご紹介した通り。
所属チームもなく、たった一人で練習する日々は、なんと9カ月も続きました!
李承信選手にとって、何とも辛かった9カ月の日々は、コベルコ神戸スティーラーズに加入することで幕を閉じました。
そのきっかけとなったキーマンは、先ほどご紹介した福本正幸さんです。
李承信選手の中学時代のコーチだった福本正幸さんは、コベルコ神戸スティーラーズのチームディレクターを務めていました。
李承信選手は、福本正幸チームディレクターに声をかけられ、チームの練習場を使わせてもらえるようになったのです。
ラグビースクール時代から必死に練習をしてきた李承信選手。
そんな昔の愛弟子がおかれている状況を知った福本正幸さんは、どうにかして力になりたいと思ったそうです。
次第に、クラブの選手がトレーニングに付き合ってくれるようになり、相談に乗ってもらえるようにもなりました。
そしてついに!!
李承信選手は、2020年10月、コベルコ神戸スティーラーズへ加入することになりました!
福本正幸チームディレクターは、李承信選手にとってまさに恩人ですよね!
ジュニア・ジャパン主将務めた19歳の李承信が帝京大を退学 神戸製鋼に加入!https://t.co/FYAS1Pe4zp#ラグビー #神戸製鋼コベルコスティーラーズ pic.twitter.com/JAfAdYaiOi
— ラグビーリパブリック|RUGBY REPUBLIC (@RUGBY_REPUBLIC) September 30, 2020
先の見えなかった日々を、李承信選手はこのように語っています。
先が真っ暗になったというか、何を目指したら良いのか分からなくなりましたが、いつかチャンスが訪れると思いながら公園で走り込みをしたりジムでトレーニングしたりしていました。
自分にはラグビーしか無いと思ったので、歯を食いしばって耐えるしかなかったんです。
この先どうなるかわからない・・相当辛かったと思います。
普通なら諦めて別の道を考えることもあるかもしれません。
それでも諦めず、練習を積み重ねてきた結果が実った瞬間ともいえますね!
コベルコ神戸スティーラーズに入団後、李承信選手は2022年7月に副キャプテンに就任するなど、チームになくてはならない存在に成長しました。
さらに!
2022年のウルグアイ戦で日本代表デビューを果たしました。
途中、目に大けがを負ってしまい、戦線離脱を余儀なくされましたが、けがからおよそ40日後にはリーグ戦復帰を果たしています。
そして、2023年9月に開幕したワールドカップのメンバーにも選出され、出場されました!
今後を期待される若手としても注目していきたいですね。
2023年のワールドカップでは、李承信選手が出場したのは9月29日のサモア戦のみでした。
次回のワールドカップに期待しましょう!!
まとめ
今回は、2023年9月8月から開催された、ラグビーワールドカップ日本代表として出場された、李承信選手が、大学を退部(退学)した理由と、コベルコ神戸スティーラーズに入団した経緯までをお伝えしました。
大学時代に海外挑戦を視野に、ニュージーランドへの留学を決意!
しかし、コロナ禍で渡航できずに断念するという辛い経験をされた李承信選手。
中学卒業までは、神戸ラグビースクールでラグビーをやりつつ、小中学校の部活ではサッカー部に所属していましたね。
大阪朝鮮中高級学校では、高校日本代表に選出され、主将も経験!
目標であった花園には、3年生の時に念願の出場を果たしました!
しかし大学入学後に、留学を断念してからは所属チームもなく、一人公園で練習する日々を送っていました。
先が見えない辛い日々を救ってくれたのが、かつて通っていたラグビースクールのコーチで、コベルコ神戸スティーラーズの福本正幸チームディレクターでしたね。
まさに、李承信選手にとって恩人とも呼べる人です。
そして、2020年10月、李承信選手はコベルコ神戸スティーラーズへ加入しました!
加入後は副キャプテンを務めたりと活躍し、ついに2022年に日本代表としてデビュー!
代表キャップを得てから1年あまりで、33人の仏ワールドカップのメンバーの一人に選ばれました。
苦難の連続だった李承信選手ですが、その経験があるからこそ、2023年のワールドカップメンバーにも選ばれたのでしょう!
今後の活躍にも期待したいですね。
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